希望発表形式

シンポジウム

「咽頭・食道領域における多発癌・重複癌の診断と治療の現況」

司会  がん・感染症センター都立駒込病院 内視鏡科 門馬久美子
    東京医科歯科大学 消化管外科        川田 研郎

画像強調内視鏡や拡大内視鏡の併用により、多くの咽頭・食道領域の病変が拾い上げられてきた。ヨード染色が併用できない咽頭領域では、画像強調内視鏡の有用性が認識され、経口内視鏡の死角を減らす工夫として、現在、経口バルサマウスや経鼻内視鏡下での咽喉頭展開法が注目されている。これらの観察法により発見率が向上した咽頭・食道領域の病変であるが、この領域の病変の診断・治療において一番重要な問題は、多発病変が多く、咽頭・食道の重複癌の頻度が高い点である。多発癌あるいは重複癌が発見された場合、何を根拠にどのような治療戦略を立てるのか。病変の進行度を参考に内視鏡治療や化学放射線治療、外科治療を選択するが、その決定には、病変の位置や臓器の特性などを考慮する必要がある。どのような治療を、どの順番で、どの時期に行うのかについて一定の見解はなく、症例により異なっているのが実情である。今回は、各施設における多発癌・重複癌の発見の工夫とその頻度、治療選択の根拠を含めた治療の現況を明らかにし、今後の治療選択の参考にしたい。

ビデオシンポジウム

「こうすれば上達する消化管EMR/ESD 指導と研修の立場から」

司会  東京大学医学部 光学医療診療部 藤城 光弘
    東京慈恵会医科大学 内視鏡科  炭山 和毅

2006年に胃ESDが保険収載されてから10年が経過した現在、ESDは、食道、大腸にも広く応用されている。ESDの前段階としてのポリペクトミー、EMRの重要性は言うに及ばず、特に大腸においては、ほとんどの腫瘍はポリペクトミー、EMRで切除されている。これらの内視鏡手技習得には、患者への不利益を最小限とし、効率よくマスターできる教育システムの構築が不可欠である。臨床例の前にアニマルモデルによるハンズオンを実施したり、一施設で完結しない場合は、他施設から指導医師を招聘したり、手技習得を目指す医師が他施設に赴いて指導を受けるようなシステムを構築している施設もあると思われる。学会でも地方会を中心にハンズオンセミナーが開催されているが、教育効果はどうであろうか。効果がないようなら、ハンズオンを継続すべきか検討する必要もあろう。知りたいところである。本ビデオシンポジウムでは、各施設におけるEMR/ESDの指導法・習得法の工夫を、一部動画を用いながらご提示いただきたい。EMR/ESDに纏わるトラブルシューティングの教育法などに特化した各論的な内容でも構わない。指導する立場からの発表、研修を受ける立場からの発表、いずれも歓迎する。様々な角度からの多くの演題応募を期待している。

パネルディスカッション

「内視鏡スクリーニング検査の標準化と画像強調観察の位置づけ」

司会  埼玉医科大学 消化管内科     今枝 博之
    東京女子医科大学 消化器内視鏡科 岸野真衣子

内視鏡スクリーニング検査の目的は、臓器に関わらずがんを発見し、がん死亡率減少を達成することにある。厚生労働省の指針により2016 年度以降の対策型検診に胃内視鏡も実施可能となったことより、日本消化器がん検診学会において「対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル」が公開された。その中にもあるように内視鏡によるスクリーニング検査を広めていくためには、スクリーニング検査としての検査手順、診断精度やデータの管理体制、偶発症に対する安全管理体制を整備し標準化することが早急な命題である。
本セッションでは上部消化管内視鏡のみならず大腸内視鏡においても、日頃内視鏡検診に携わっている先生方に、現状と工夫、問題点、その対策についてご発表いただくことにより、内視鏡スクリーニング検査の標準化にむけた問題点を抽出し、整備に役立てたいと考える。また、とくに近年、進歩のめざましい画像強調観察のスクリーニング検査における位置づけや診断精度向上への寄与の有無などについてもご発表いただきたい。多数の演題応募を期待する。

パネルディスカッション

「消化管出血に対する内視鏡手技の工夫-抗血栓療法のマネージメントも含めて-」

司会  虎の門病院 消化器内科         貝瀬 満
    北里大学医学部 新世紀医療開発センター 田辺 聡

消化管出血は日常臨床においてしばしば遭遇する病態であり、内視鏡医にとって永遠のテーマである。内視鏡的止血術の進歩により多くの症例は止血可能となったが、いまだに止血困難例もみられ、interventional radiology や外科手術を余儀なくされる症例も経験する。近年、高齢化社会を迎えて非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)や抗血栓薬服用者が増加し、重篤基礎疾患合併例などの治療困難例に対する止血法や処置後の薬剤マネージメントも課題である。また近年増加している大腸憩室出血は、出血部位の同定が困難で再発しやすいなどの課題を克服するため、検査のタイミング・内視鏡観察法・止血方法など様々な試みが行われている。Endoscopic band ligation (EBL) はその有効性が報告される一方、穿孔・膿瘍などの合併症例も散見される。本パネルディスカッションでは非静脈瘤性の消化管出血(上部〜小腸・下部消化管)全般を対象として、検査実施時期や前処置法の選択、内視鏡的止血法の選択や手技の工夫、治療困難例に対する対処法、止血処置後の抗血栓療法を含めた患者マネージメント等についても各施設での取り組みを示していただきたい。手技については可能な限り動画を用いた実践的な発表を希望する。貴重な症例の報告も歓迎するので、多数の演題応募を期待する。

ビデオワークショップ

「悪性消化管狭窄に対するステント治療のコツとトラブルシューティング」

司会  東邦大学医療センター大橋病院 消化器内科 前谷 容
    がん研有明病院 消化器内科        佐々木 隆

本邦においても悪性消化管狭窄に対するステント治療は幅広く普及してきた。食道ステントに始まり、胃十二指腸ステント、さらには大腸ステントも保険承認され、多くの施設で日常的に行われている。その背景には、ステントの改良に伴って、より安全でより簡便に手技を施行できるようなったことも大きい。一方で今まででは適応とならなかったような、より難易度の高い症例に対してもステント治療が施行しうる状況になってきている。このようなことも影響して、トラブル症例に遭遇する可能性も増えてきている。消化管ステント留置は多くの場合、進行癌患者を対象に行われる処置であるため、偶発症が時に重篤な転帰をたどる可能性を秘めていることを忘れてはいけない。重篤な偶発症を引き起こさないためにも、手技を施行するにあたっては、使用するステントの特性や手技の注意点などに精通し、十分な準備体制のもとで行う必要がある。
本セッションでは、消化管ステント留置術をより安全に行うための各施設の工夫や、トラブル症例をどのように克服したかなど、動画を用いた症例提示を交えながら討論を行いたい。1例報告も大いに歓迎するので、多数の施設からの応募を期待する。

ワークショップ

「膵胆道結石症に対する内視鏡治療のトラブルシューティング」

司会  東邦大学医療センター大森病院 消化器内科 五十嵐良典
    東京大学医学部 消化器内科        伊佐山浩通

膵・胆道結石に対する内視鏡的治療は、基本的な手技ではあるが、バリエーションも大きく治療困難例も珍しくない。胆管結石治療では、乳頭アプローチに関しては術後腸管や乳頭の位置異常、憩室内開口などの解剖学的な問題、乳頭処置(EST、EPBD、EPLBDなど)、結石に関しては巨大結石、嵌頓結石、胆嚢管との合流部結石、肝内結石などの種々の困難結石が存在する。膵管結石では、膵管走行や太さなどの解剖学的な問題や、嵌頓結石、巨大結石などの困難結石が存在する。乳頭処置における出血、穿孔、治療中のバスケット嵌頓や把持困難例、破砕困難例など、窮地に陥る時もしばしばである。これらの種々の困難例に対して、状況を打開し、安全に治療を完遂せねばならない。
本セッションでは、困難を乗り越えた経験を発表していただき、その知識を共有していきたい。有用であったデバイスの紹介も歓迎する。まとまった報告は難しく、症例報告が多くなると思うが、トラブルシューティングの引き出しを一つでも増やすことが重要と考えている。発表にはVideoが望ましいが、不可能な症例では詳細な図解で聴衆が理解できるような呈示の工夫をお願いしたい。会員諸氏の貴重な経験を報告していただき、実りあるセッションにしたい。

ワークショップ

「膵胆道疾患に対する内視鏡的ドレナージの最前線」

司会  昭和大学藤が丘病院 消化器内科 長濵 正亞
    北里大学病院 内視鏡センター  木田 光広

膵胆道の閉塞性疾患に対して内視鏡的ドレナージは経乳頭が主流であった。EUS-FNAの登場でその技術を応用したinterventional EUSによって経乳頭以外の新たな経消化管的ドレナージルートの選択が行えるようになり、2012 年には保険収載され臨床応用が身近になった。また膵仮性嚢胞・膿瘍のEUS下ドレナージ、EUS-BD(CDS, HGS)、EUS-PDなども報告されている。しかしinterventional EUSは高い偶発症率を有しており、その手技の標準化(standardization)の確立と最適なデバイスの選択が模索されている。最近ではデリバリーシステムが細径化されたSEMS により、悪性肝門部閉塞に対するside by sideや、術後胃の悪性胆道狭窄に対するSEMS での胆管ドレナージも容易に行えるようになってきた。さらに良性胆道狭窄に対して抜去可能であるfully-covered SEMSの有用性も多く報告されている。
本ワークショップでは各施設での最新のドレナージ事情をご報告いただき、特に良悪性胆道狭窄・膵管狭窄、膵仮性嚢胞・膿瘍ドレナージなどについて最新の内視鏡手技と成績を提示していただき、その有用性と問題点を共有し今後の診療に役立てたい。

ワークショップ

「外科と内科のコラボレーションによる低侵襲治療の新展開」

司会  慶應義塾大学病院 腫瘍センター 矢作 直久
    がん研有明病院 消化器外科   比企 直樹

消化管内視鏡は管腔内からのアプローチであるため、より正確な病変の範囲診断と切除が可能であるが、穿孔のリスクが高すぎる処置は不可能であった。一方で腹腔鏡手術は穿孔のリスクを気にすることなく病変の完全切除が可能であるが、管腔外からのアプローチであるため時として切除範囲が必要以上に大きくなることがあり、著しい消化管の変形を伴う事があった。そこで胃SMTの治療を対象にそれぞれの長所を生かして病変のみを正確に切除すべく、腹腔鏡・内視鏡合同手術(laparoscopy endoscopy cooperative surgery;LECS)が開発された。LECSはその大きなメリットのためいち早く保険収載され広く行われるようになったが、現在では胃SMTのみならず早期胃癌や他臓器の治療にもその応用が試みられている。また手技的にも非穿孔式の全層切除や、ESD後の腹腔鏡下縫縮など様々なLECS関連手技が報告されている。本セッションではこれらLECS 関連手技の治療成績や手技のコツ、さらにはトラブルシューティングなどについて発表して頂き、外科と内科のコラボレーションによる低侵襲治療の更なる可能性を明らかにしたい。