希望発表形式

シンポジウム

「動画でみるより安全で確実な治療内視鏡 -我々の工夫、トラブルシューティング、我々の教育法など」

司会 日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野 後藤田卓志
   国立がん研究センタ-中央病院 内視鏡科   斎藤  豊

消化管腫瘍の治療として食道・胃ではESDが主流となっているが、小さな病変に対しては、時間短縮や簡便性の観点からEMRの活躍の場もある。
大腸では通常EMRで対応困難な場合にESDが選択されるが、2cm未満の腺腫性病変には、Cold polypectomy・Hot polypectomy・EMRが現在でも主流である。ESDの亜型としてprecutting EMRやHybrid ESD、EMRの亜型としてunder water EMRなどの手技も報告されている。
一方十二指腸では偶発症の高さからESDは一般的でなく、EMRあるいは大きな病変に対してはLECS関連手技も行われている。
本シンポジウムでは動画を中心に、新たな手技、既存手技の工夫、合併症に対するトラブルシューティング、指導法について広く演題を募集する。
若手の先生からベテランの先生まで多くの演題を期待したい。

シンポジウム

「内視鏡観察の現状と近未来」

司会 昭和大学江東豊洲病院 消化器センター 井上 晴洋
   東京慈恵会医科大学 内視鏡科     炭山 和毅

消化器内視鏡領域の画像技術の進歩は目覚ましい。特にNBIやBLIなど画像強調観察を併用した拡大内視鏡の普及によって、腫瘍・非腫瘍の鑑別や、病変の拾い上げ、範囲診断の精度は、飛躍的に向上し、今日の内視鏡治療の発展の礎となった。近年では、エンドサイトスコピーや共焦点内視鏡など、顕微内視鏡技術が臨床導入され、内視鏡診断と生検組織診断の間に存在する溝を埋める技術として検討が進められている。また、診断体系については、各技術、臓器別に、診断アルゴリズムの標準化が進められ、教育の効率化や精度の高い診断技術の普及が図られている。さらに、分子イメージング技術や人工知能技術の内視鏡領域への応用も模索され、近い将来、術者の技能によらない、より客観的な診断が実現できるようになると期待されている。
本シンポジウムでは、多様な観察方法が選択可能な現在、各技術の利点を最大限に活用するための方法や工夫、さらには近い将来臨床導入が可能と予想される基礎研究などをご報告いただき、その臨床的意義を明らかにしていきたい。

パネルディスカッション

「消化管癌内視鏡スクリーニング、検診の現況」

司  会 埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科 岡 政志
     慶應義塾大学病院 予防医療センター       岩男 泰
特別発言 東京医科大学 消化器内視鏡学          河合 隆

高齢化社会の到来により、2人に1人ががんに罹る時代となった。その多くを占める消化管癌の検診は極めて重要であり、内視鏡の果たす役割は増すばかりである。「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版」では、胃内視鏡検査も対策型検診での実施が推奨されるにいたった。すでに任意型検診や個別検診において先行実施されているが、胃がん検診として内視鏡が広く導入されるにあたっては、対象や検査間隔の設定、精度管理のあり方など課題が少なくない。そして内視鏡件数の増加にどう対処するかは、最大の問題点である。H.pylori感染および血清ペプシノゲン法を用いたABC(D)分類に基づくリスク集約による内視鏡検診の効率化はその一つのアプローチとして提唱されているが、有効性の検証はこれからであり、すでに始まっている施設においてはやりっ放し検診となるケースも見られ、抗体価の陰性高値例や除菌例(E群)をどう対応するか、新しい抗体測定法についてなど問題は山積している。大腸がん検診においては、免疫学的便潜血検査の有効性が高いエビデンスで示されているが、右側型大腸癌での感度の問題、さらに精検受診率の低さが大きな問題となっている。しかし、受診率の向上を目指す施策や内視鏡検査によるスクリーニングの可能性を考える際に、上部消化管以上に検査医の確保や精度管理は大きな課題である。
本パネルディスカッションでは、内視鏡による消化管癌のスクリーニングの現況を様々な立場、視点から報告していただき、今後の消化管癌検診のありかたについて討議したいと考えている。

パネルディスカッション

「挿入困難例に対する工夫 -大腸、術後腸管、胆膵領域-」

司会 自治医科大学内科学講座 消化器内科学部門 山本 博徳
   埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科 良沢 昭銘

全大腸内視鏡検査は内視鏡の改良、挿入技術の進歩により通常消化器内視鏡検査として一般的に普及している。しかし、術後の癒着や過長結腸などの理由で挿入困難例が存在しており、その克服はいまだに重要な課題である。大腸内視鏡挿入困難例におけるバルーン内視鏡、受動湾曲細径大腸鏡などの有用性が報告されているが、そのほかにも様々な工夫により挿入困難例に対処しているものと思われる。
一方、術後腸管症例に対する胆膵内視鏡診療は一般には困難と考えられてきたが、バルーン内視鏡の普及により、検査・治療対象例が増加してきている。術後腸管としては、胃切除後のBillrothⅡ法再建やRoux-en-Y再建に加えて、膵頭十二指腸切除後および胆道術後例があり、内視鏡治療の難易度は乳頭あるいは胆管・膵管空腸吻合部までの輸入脚の長さや屈曲に影響される。最近ではバルーン内視鏡のほかに前方斜視鏡や高伝達受動湾曲スコープの応用の報告もある。
本セッションでは各施設における手技の実際をビデオで供覧していただき、それぞれの有用性と限界について理解する一助としたい。

パネルディスカッション

「より安全、確実な内視鏡のリスクマネージメントの実際」

司会 埼玉医科大学病院 消化管内科 今枝 博之
   東京医科大学 消化器内科   糸井 隆夫

消化器内視鏡の機器や処置具の開発により、消化管から肝胆膵の全ての領域において従来では困難とされた領域の診断・治療が、大病院のみならず小中規模病院でも行われるようになっている。特に治療に関してはESD, POEM, バルーン小腸内視鏡治療やEUSガイド下の胆道ドレナージや膵液体貯留に対するドレナージなど高難度な手技が普及している。しかし、こうした手技は難度にかかわらず、手技が不成功に終わったり、手技に伴う偶発症が起こりうる。また、抗血栓薬服用患者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインに基づき抗血栓薬によっては休薬しないでも内視鏡検査や治療が可能となったが、各施設において対応は異なっている。
そこで、本パネルディスカッションでは消化管から肝胆膵までの全ての領域の消化器内視鏡診断・治療を、より安全、確実に行うための、各施設における術前・術中・術後のリスクマネージメントの実際をご発表いただき、明日からの実臨床に役立つような討論をしたいと考えている。多数の施設からの演題応募を期待する。

ワークショップ

「消化管腫瘍内視鏡治療に対する外科・内科 -診療科をまたいだ協調診療-」

司  会 東京大学医学部附属病院 光学医療診療部  藤城 光弘
     帝京大学ちば総合医療センター 消化器内科 道田 知樹
特別発言 がん研究会有明病院 消化器センター    比企 直樹

内視鏡治療がESDを始めとした低侵襲・臓器温存治療として、広く行われるようになった現在、内科が診断し外科が治療をするという構図はすでに過去のものであり、内科にも外科にもお互いの知識・素養が求められる時代に突入している。2008年のHikiらの報告に端を発する、Laparoscopic Endoscopic Cooperative Surgery (LECS)は、腹腔鏡と内視鏡を組み合わせることにより、必要最小限の侵襲・臓器切除で腫瘍を切除する方法であり、外科と内科の境界領域で両者が争うのではなく、協調診療を行うことで最適な治療を患者に提供している。これは、LECSコンセプトとして外科と内科のコラボレーションの象徴として語られ、また、内科医・外科医がそれぞれ双方の知識・素養を学ぶよい機会となっている。
本ワークショップでは、各施設における、LECSを始めとした、消化管腫瘍内視鏡治療における外科・内科の協調診療の様々な取り組みをご披露いただき、将来展望を模索してみたい。どんな小さな取り組みでも光るものは採用するつもりなので、多方面からの積極的な演題応募を期待している。

ワークショップ

「膵胆道疾患に対する、より低侵襲内視鏡治療の現状は」

司会 東邦大学医療センター大森病院 消化器内科 五十嵐良典
   公立昭和病院 予防・健診センター     川口  淳

膵胆道疾患に対する内視鏡治療は良性・悪性、緊急・待機治療を問わず様々な場面で大きな役割を担っている.経乳頭的な胆道膵管ドレナージ,結石除去術に関わる様々な手技,乳頭切除術、膵嚢胞のドレナージ,などに加え,EUSを用いての膵胆道疾患への乳頭以外からのアプローチ、さらに外科手術後の問題に対する内視鏡治療など様々な内視鏡手技が行われている.患者の高齢化、合併症を有する患者の増加,外科手術後のADL低下への懸念、内視鏡治療の進歩等から,病期毎に外科手術治療から内視鏡治療までの様々な選択肢を検討する必要がある。
本ワークショップでは,各施設の膵胆道疾患(胆道結石、悪性胆道狭窄,乳頭腺腫(含早期癌),膵嚢胞性疾患,外科手術後の問題等)に対する各種内視鏡治療の成績を披歴していただき,根治性と予後の兼ね合いから侵襲性が低い治療手技としての膵胆道内視鏡治療の現状を知るとともに高齢化社会,多様化する価値観の時代の膵胆道内視鏡の現時点での最善策は何かを改めて検討したいと考えているので現状をご教示願いたい。

ワークショップ

「緊急診療における内視鏡診断と治療の現状」

司会 筑波大学附属病院 光学医療診療部    溝上 裕士
   北里大学医学部 新世紀医療開発センター
   先端医療領域開発部門 低侵襲光学治療学 田邉  聡

消化器領域における緊急内視鏡の占める役割は大きいが、中でも消化管出血は日常臨床において遭遇する頻度の高い病態である。一方、消化管出血の原因疾患も従来の消化性潰瘍から、薬剤起因性潰瘍や、小腸出血、大腸憩室出血と時代とともに変化しつつある。この背景には、急速に進む高齢化社会を迎え基礎疾患合併例の増加により、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)や抗血栓薬服用者の増加が影響していると推察される。
本ワークショップでは、非静脈瘤性の消化管出血(上部、小腸、下部消化管)全般を対象に、出血源の内視鏡診断の現状、出血部位の同定が困難な症例の特徴や診断方法の工夫を提示していただくと共に、内視鏡治療の現状と限界症例、また、interventional radiologyや外科手術への移行のタイミングなどをご発表いただき、明日からの日常診療にfeedbackできるようなワークショップにできればと考えている。貴重な症例の報告も歓迎するので、多数の演題応募を期待する。