希望講演形式


第107回日本消化器内視鏡学会関東支部例会 ご案内と演題募集のお知らせ

会長:山本 博徳 (自治医科大学 消化器内科)
会期:2018年(平成30年)12月15日(土)・16日(日)
会場:シェーンバッハ・サボー (〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5)

主題(シンポジウム2題、ビデオワークショップ5題、パネルディスカッション3題)、
一般演題、研修医セッション、専修医セッション (口演: 公募)

消化器内視鏡に関する演題を広く募集いたします。
応募は「本学会および他の学会で未発表」で、「倫理規定に抵触しない」演題に限ります。
口演は全てコンピュータープレゼンテーションです。
演者数につきましては、主題:5名以内、一般演題、研修医セッション、専修医セッション:21名以内としてください。

※演題発表時に研修医(初期研修医)および専修医(後期研修医)が筆頭演者の演題のうち、優れた5演題を選出し表彰いたします。受賞者には奨励金として3万円を贈呈いたします。
さらに、筆頭演者は翌年春の日本消化器内視鏡学会総会へ招待されます。(学会参加費、交通費、宿泊費等は日本消化器内視鏡学会が負担します。) 奮ってご応募ください。
演題登録の際、「講演形態」選択肢欄の『研修医』、『専修医』を選択し、登録してください。

シンポジウム

「炎症性腸疾患診療における内視鏡の役割」

                  司会 慶應義塾大学病院 予防医療センター       岩男  泰
                     東京医科歯科大学医学部附属病院 光学医療診療部 大塚 和朗

炎症性腸疾患(IBD)に遭遇することが多くなった。内視鏡は消化管診療の中心にあるが、IBD診療における内視鏡の役割はどうであろうか。診断する上で病変の形態は、本邦のIBDの診断基準では大きな比重を占める。こうした中で、潰瘍性大腸炎では、内視鏡所見に基づく治療方針の策定や予後予測、癌サーベイランスの方法などの課題がある。クローン病では、大腸のみならず小腸病変をどのように把握するかということも考えていかねばならない。さらに、腸管ベーチェット/単純性潰瘍やCEASにも関心が寄せられており、内視鏡の役割は一層増大しているように考えられる。その一方で、CTやMRI、超音波検査などの検査機器の活用が唱えられ、新規バイオマーカーも発表されており、疾患のモニターをどのようにしていくのかという議論がある。さらに、診断や評価に加え、低侵襲に直接病変にアプローチできる内視鏡の特性を生かした腸管狭窄に対する拡張術等の治療内視鏡はどうであろうか。他方、内視鏡検査の負担や偶発症といった負の側面も考慮していく必要がある。多方面からの報告をいただきたい。

シンポジウム

「ヘリコバクター・ピロリ陰性時代の消化器内視鏡」 

                  司会 防衛医科大学校 光学医療診療部    永尾 重昭
                     昭和大学江東豊洲病院 消化器センター 井上 晴洋

近年ではヘリコバクター・ピロリの感染率が著明に低下しており、H. pylori陰性者の割合が増加している。この感染率の低下に伴い上部消化管疾患の疾患頻度が変化しつつある。若年層では、H. pylori未感染者の増加とともにH. pylori感染性の消化性潰瘍は激減すると共に、胃食道逆流症(GERD)の患者の増加傾向が予想されている。さらには、胃癌もH. pylori陽性胃癌から、除菌後、未感染粘膜からの報告も増加している。除菌後胃癌は特に内視鏡治療後に異時性に発生する多くの分化型胃癌のみならず、頻度は低いが予後の悪い低分化型癌にも注意を要する。未感染ではその代表が粘膜内に限局する印環細胞癌がありさらには胃型形質を主体とする低異型度の胃底腺型胃癌が注目されている。疾患動態の変化のみならずH. pylori 陰性胃癌の拾い上げなどや種々の食道、胃、十二指腸疾患特にH. pylori 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、自己免疫性胃炎、GERDなどの良性疾患も含め、消化器内視鏡観察上のコツ、留意点なども含め現状提示とともに今後の消化器内視鏡あり方など提案していただきたい。

ビデオワークショップ

「安全な切除法 -CSPからESDまで」

                司会 北里大学医学部 新世紀医療開発センター        田邉  聡
應義塾大学医学部 腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門 矢作 直久

近年の内視鏡医療の進歩は目覚ましく、リンパ節転移のリスクがほとんどないと考えられる上皮性腫瘍の多くが、内視鏡的に切除されるようになった。また新たな治療手技の登場に伴いその手技に適した様々な処置具も開発され、以前に比べてより安全かつ確実に切除できるようになり、内視鏡治療は根治を目指せる信頼できる治療法となった。しかし術者は、腫瘍のサイズや形態、悪性度に応じて、安全かつ過不足のない切除を可能とする治療手技を選択しなければならない。例えば極小さな良性腫瘍であればCold forceps polypectomyやCold snare polypectomyでも十分であるし、少し大きめの病変であればEMRやUnderwater EMRとなり、より大きな病変や悪性度の高い病変であればESDでの確実な切除が必要になってくる。また消化管は、食道、胃、十二指腸、大腸においてそれぞれの臓器特性が異なっており、適切な治療手技やその難易度も異なってくる。本セッションでは、対象病変をより安全に切除するための治療手技の選択基準や、治療成績、偶発症を回避するための新たな工夫について発表していただきたい。

ビデオワークショップ

「初学者の立場からみた胆膵内視鏡指導のあり方」

                司会 自治医科大学附属さいたま医療センター 消化器内科 眞嶋 浩聡
                  獨協医科大学 消化器内科               入澤 篤志

胆膵内視鏡には大きくERCP (endoscopic retrograde cholangiopancreatography) とEUS (endoscopic ultrasonography) があるが、いずれも難易度が高い検査である。これまで指導者からみた教育論や方法論は多く、最近ではテキスト、DVD、ライブデモンストレーションも増えてきた。しかし、消化管内視鏡と比較してトレーニングモデルが少なく、指導者からの直接指導でスキルアップを図っているのが実情である。胆膵内視鏡の指導が十分に行える内視鏡医の数は需要に比して十分とは言えず、胆膵内視鏡医の育成は重要な課題である。そのためには指導者からの視点だけでなく、初学者がいかにして困難点を克服したか、その指導方法、ラーニングカーブの推移など、初学者の観点からの発表も重要である。そこで、本セッションでは、初学者の立場からみて困難点を克服するのには何が有効であったかを発表していただきたい。ERCPではスコープの挿入、十二指腸のストレッチ、Vater乳頭の正面視、カニュレーションなどがまず関門として立ちはだかる。EUSではラジアルとコンベックスでも異なるが、どのような断面像をみているのか、スコープをどう動かせば何がみえてくるかなどの3次元的な構造の理解が難しい。困難点の克服方法、その際の有効な指導法を初学者と指導者が共有することにより、よりよい胆膵内視鏡指導のあり方を検討したい。

ビデオワークショップ

「実診療で役立つ画像強調内視鏡」

     司会 東京慈恵会医科大学 内視鏡科        炭山 和毅
        国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科 池松 弘朗

NBIやBLI/LCI、i-scan等の画像強調法は、拡大内視鏡との併用による腫瘍・非腫瘍の鑑別診断や深達度診断における有用性が証明され、普及に至った。ボタン一つで白色光観察から切り替えることが可能な簡便性から、咽喉頭・食道領域のスクリーニングなど非拡大観察においても使用される機会は増している。特に近年は、技術的改良が進み、遠景からも明るい画像が得られるようになり、腫瘍の拾い上げ診断に加え、炎症性変化の評価などへの応用も期待されている。一方、画像強調法の機能や適応が多様化する中、適切な使用法を理解し、多忙な日常診療の中、期待される効果が得られるよう効率的に観察を行うことは必ずしも容易ではない。今回のビデオワークショップでは、対象臓器・疾病を限らず、ご施設での観察手順や工夫、新たな応用法、さらには教育方法などについて、実際の手技の動画を交えご報告いただき、実臨床における効率的な画像強調内視鏡の活用方法を模索したい。

ビデオワークショップ

「確実な止血法の工夫」

  司会 帝京大学ちば総合医療センター 第3内科  道田 知樹
        国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 小田 一郎

消化管出血は日常臨床で遭遇する疾患であり、その診断や治療において消化器内視鏡は大きな役割を担っている。消化性潰瘍や食道・胃静脈瘤は減少傾向であるものの、非ステロイド性消炎鎮痛薬や抗血栓薬の服用者増加の影響などにより、高齢者の消化管出血は増加しており、消化器内視鏡の役割は、今なお重要である。 潰瘍性病変、食道・胃静脈瘤、大腸憩室、血管性病変、腫瘍性病変、医原性(EMR/ESD)など、原疾患により、消化管出血の最適な診断・治療法は異なる。また、標準的な手法がある程度確立しているものから、発展途上のものまで、疾患により種々である。本ビデオワークショップでは消化管出血全般を対象とし、各施設で実施している確実な止血法に関して、標準的手技のコツ、新たな手技の工夫、止血困難例などの演題を広く募集する。様々な施設からの多くの演題の応募を期待している。

ビデオワークショップ

「安全な異物回収の工夫」

    司会 独立行政法人 国立病院機構 東京病院 消化器センター  喜多 宏人
        がん研究会有明病院 消化器センター 外科        比企 直樹

日常診療で消化管異物の患者にしばしば遭遇する。一般に、内視鏡的異物除去と比較して、外科手術による異物除去は侵襲が大きいため、消化管異物症例に遭遇した場合、内視鏡的異物除去できないかどうか、可能な限り検討することが多い。一方、内視鏡的異物除去を行う際に治療の安全性を保つことは、これまた重要なポイントである。本ワークショップは、各施設での実際の経験や、安全に異物を内視鏡的に回収できた工夫、あるいはどうしても内視鏡的に回収できなかった経緯、異物回収の際に発生したトラブルなどを発表いただきたい。セッションの性格上、一例報告や、静止画のみ報告であっても歓迎する。

パネルディスカッション

「小腸疾患に対する効率的アプローチ」

                         司会 慶應義塾大学医学部 内視鏡センター     緒方 晴彦
                          自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門 矢野 智則

小腸疾患に対する検査は、カプセル内視鏡、バルーン内視鏡に限らず様々な選択肢があり、画像診断機器の性能も上がってきている。小腸疾患の診断過程では、既に得られている情報を元に頻度も考慮して鑑別診断を挙げたうえで、各モダリティの長所と短所を考慮しながら診断戦略を組んでいく。カプセル内視鏡では前処置、バルーン内視鏡では挿入ルート、CT/MRIでは造影・前処置・撮影プロトコル等によって、得られる情報が異なってくる。小腸疾患の治療においても、外科的治療、薬物治療、IVR、内視鏡治療という選択肢があり、内視鏡治療の中でもスコープやフード、処置具の選択や、挿入ルートなど、様々な選択肢がある。しかし、いずれも完全に確立されたものはなく、各施設のマンパワーや設備状況によっても診断・治療戦略は異なってくる。本セッションでは小腸疾患の診断・治療における各施設の工夫を紹介していただき、効率的アプローチについて検討したい。

パネルディスカッション

「内視鏡診療におけるリスクマネジメント・周術期管理」

 

  司会 東京医科大学 消化器内視鏡学分野    河合  隆
     東京大学医学部附属病院 光学医療診療部 藤城 光弘

内視鏡診療は、経鼻内視鏡などのスクリーニング目的の診断内視鏡から、ERCP関連手技、ESDなどの高度な治療内視鏡まで幅広い。また、内視鏡医1名の無床診療所や検診施設、さらには総合病院、大学病院と、様々な環境下で行われている。内視鏡診療の多様化、超高齢社会の到来により、従来にも増して、それぞれの状況に応じた、適切なリスクマネジメント・周術期管理が求められている。内視鏡前(抗血栓薬をはじめとした内服薬の服薬指導、患者誤認防止対策、など)、内視鏡中(鎮静方法、患者監視体制、偶発症軽減のための取り組み、など)、内視鏡後(鎮静後の退室基準、ポリープ切除後の患者教育、など)の取り組みに加え、医師・メディカルスタッフとの情報共有方法、内視鏡機器の洗浄・消毒、保守点検など、様々な各施設独自の取り組みが行われているはずである。本主題では、安全で確実な内視鏡診療を実現するために行われているリスクマネジメント・周術期管理に対する各施設の工夫を広く募集する。多くの演題の応募を期待している。

パネルディスカッション

「EUSを用いた膵胆道疾患の診断と治療」

司会 東京医科大学 消化器内科         糸井 隆夫
                             東邦大学医療センター大森病院 消化器内科 岡野 直樹

CTやMRIなどの非侵襲的な画像検査の進歩はめざましく、現在では多くの膵胆道疾患においてルーティンの検査となっている。一方、EUS診断は被験者の解剖学的要素や術者の技量に依存することが短所であるものの、膵胆道疾患においては存在診断や質的診断も含め未だ精密画像検査としての役割は大きい。特に超音波造影剤を用いた造影EUSは、ファンダメンタルイメージにvascularityを加えることによる質的診断の向上が期待されている。さらにEUSは組織診・細胞診を目的としたEUS-FNAの普及により、単なる画像診断から最終病理診断までを担うモダリティーとしてその存在意義を広げている。また最近ではEUS-FNAサンプルを用いた分子生物学的研究も世界中で行われており、今後のテーラーメイド医療につながる可能性がある。近年、EUSはこうした診断のみならず膵周囲液体貯留ドレナージや胆道ドレナージなどの治療的EUSとしても新しい発展を遂げている。治療的EUSは従来のERCPによる治療困難例も克服できる可能を秘めており、膵胆道疾患における今後の発展が期待されている。本セッションではこうしたEUSを用いた膵胆道疾患の診断と治療の進歩についてディスカッションをしたい。多くの応募を期待する。