希望講演形式


第108回日本消化器内視鏡学会関東支部例会 ご案内と演題募集のお知らせ

会長:北川 雄光(慶應義塾大学医学部外科学)
会期:2019年6月8日(土)・9日(日)
会場:シェーンバッハ・サボー(〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5)

主題(シンポジウム3題、パネルディスカッション3題、ビデオワークショップ2題)
一般演題、研修医セッション、専修医セッション(口演:公募)

消化器内視鏡に関する演題を広く募集いたします。
応募は「本学会および他の学会で未発表」で、「倫理規定に抵触しない」演題に限ります。
口演は全てコンピュータープレゼンテーションです。
演者数につきましては、主題:5名以内、一般演題、研修医セッション、専修医セッション:21名以内としてください。

※演題発表時に卒後5年以内の研修医(初期研修医)および専修医(後期研修医)が筆頭演者の演題のうち、優れた5演題を選出し表彰いたします。受賞者には奨励金として3万円を贈呈いたします。さらに、筆頭演者は翌年春の日本消化器内視鏡学会総会へ招待されます。(学会参加費、交通費、宿泊費等は日本消化器内視鏡学会が負担します。)奮ってご応募ください。
演題登録の際、「講演形態」選択肢欄の『研修医』、『専修医』を選択し、登録してください。

シンポジウム1

「日常臨床に役立つ画像強調内視鏡診断法」

司会 がん研有明病院 消化器内科 斎藤 彰一
北里大学医学部 新世紀医療開発センター 田邉  聡

日常の内視鏡診療においては、通常白色光、色素散布法に加えて、NBI、BLI、i-scanなどの光デジタル法を用いた画像強調観察(IEE)の有用性が多数、国内外から報告され、実臨床でも広く使用されている。その他、光デジタル法として自家蛍光内視鏡観察(AFI)や赤外光観察(IRI)などの有用性も報告されている。
IEE観察は全消化管で観察可能な簡便な手技である。咽頭・食道領域では拾い上げや深達度診断、胃病変では範囲診断、組織型の推定など、スクリーニングや治療方針の決定にも有用なツールとなっている。十二指腸領域についても内視鏡治療適応の可否の選別に期待されている。また下部消化管疾患のうち大腸上皮性腫瘍ではJNET分類の日常診療での役割や有効な活用法、非上皮性腫瘍との鑑別所見など、各々の疾患での日常臨床に役立つ診断法について討論したい。
各施設で考案されたオリジナリティーのある効率的な観察法や病変の拾い上げ、人工知能(AI)を用いた活用法など、日常臨床で他施設にお勧めできる有用な診断法について概説していただき、実臨床におけるIEEの有用性を明らかにしていきたい。咽頭から大腸まで全消化管についての積極的な演題応募を期待している。

シンポジウム2

「消化器癌内視鏡検診の実際と今後」

司会 東京医科大学 消化器内視鏡学 河合  隆
慶應義塾大学医学部内視鏡センター 緒方 晴彦

現在各都道府県にて内視鏡胃がん検診導入が進められているが、検診体制構築・標準化、精度管理、偶発症対策など問題山積の状態にある。一方、大腸がん検診においても、便潜血検査以外に大腸内視鏡についても死亡率減少効果に関する報告がなされ、対策型検診において推奨される機運が高まっている。しかしながら、最大の課題は検診受診率及び精検受診率向上にある。消化器がん検診の向上を目指した各施設・地域の胃がん・大腸がん対策型・任意型検診の現状から問題点、更には、工夫・取り組みなどに関する多くの演題を募集する。

シンポジウム3

「内視鏡を用いた外科と内科のコラボレーション治療」

司会 昭和大学江東豊洲病院 消化器センター 井上 晴洋
慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科 川久保博文

消化管病変の治療において、内科(内視鏡)と外科(腹腔鏡・胸腔鏡)のコラボレーションは、消化管の内側、外側からの同時のアクセスとなり、その長所は明白であろう。古くは、早期胃がんに対するLesion lifting(Ogami M et al.)や食道平滑筋腫の核出を行う方法(Izumi Y et al.)から、近年では、胃のSMTに対するLECS(Laparo-endoscopic combined surgery)(Hiki N et al.)として報告、体系化され、さらに保険収載された。早期胃がんに対するもの(Abe N et al)、CLEAN-NET(Inoue H et al.)、十二指腸におけるLECSなど、盛んにおこなわれている。内視鏡が主体であったり、腹腔鏡が主体であったりの関係性も興味深い。このセッションでは、あらゆる角度から、内視鏡と外科内視鏡のコラボレーションについての方法、成績、工夫についての演題発表をいただき、内科系・外科系の英知を統合させた低侵襲手術の将来像を追求してゆきたい。

パネルディスカッション1

「消化管腫瘍性狭窄に対する治療法」

司会 東京医科歯科大学 消化管外科 川田 研郎
国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科 矢野 友規

消化管腫瘍による悪性狭窄は、上部消化管では、食事の通過障害、嘔吐、下部消化管では腸閉塞などその症状は多彩で、患者のQOLを大きく損ね、特には致命的にもなり得る。切除不能腫瘍性狭窄に対する姑息的外科治療としてバイパス術や人工肛門造設術が行われているが、より低侵襲な治療として消化管ステントを中心とした内科的な治療も行われている。消化管腫瘍性狭窄に対するステントは、留置に成功すれば速やかに症状が改善する一方で、放射線照射後の適応、進行がんに対する処置ならではの合併症、集学的治療におけるタイミング、長期成績など解決していない課題も多い。今後、超高齢者社会の到来によって、内視鏡を用いた消化管腫瘍性狭窄に対する低侵襲な治療は益々活躍の場を広げ、症状がある進行がん患者に対する集学的治療の一翼を担うことが期待される。本セッションでは、上下部消化管腫瘍性狭窄に対する内科的、外科的な取り組みや課題から、先進的な治療開発まで幅広い演題の応募を期待する。

パネルディスカッション2

「IBD関連腫瘍の診断および治療の現状と展望」

司会 慶應義塾大学病院 予防医療センター 岩男  泰
群馬大学大学院医学系研究科内科学講座 消化器・肝臓内科学分野 浦岡 俊夫

炎症性腸疾患(IBD)の長期罹患症例が増加し、dysplasiaや癌合併に対する診療の重要性が近年より高まっている。しかし、同病変には背景粘膜に炎症を伴うため、早期の内視鏡診断は容易ではなく、サーベイランスの方法や設定も十分確立されていないのが実情である。さらに、潰瘍性大腸炎(UC)において、UC関連癌と散発性大腸癌の鑑別は容易では無いが、一方で最近刊行された欧州クローン病・大腸炎会議(ECCO)のガイドラインや米国のSCENIC international consensus statementでは、発見された病変の積極的な内視鏡的摘除が推奨されている。
本パネルディスカッションでは、発見された症例の臨床病理学的検討、色素内視鏡、image enhanced endoscopy、拡大内視鏡などを用いたIBD関連腫瘍の存在・質的診断、さらには内視鏡的摘除について、各施設の診療方法や方針を示していただきたい。症例提示から新しい試みまで、今後の展望も含め広く演題を募集している。

パネルディスカッション3

「上部消化管における同時性・異時性多発癌早期発見のためのスクリーニング・サーベイランス法」

司会 獨協医科大学 消化器内科 郷田 憲一
日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科 貝瀬  満

食道・咽頭がんや胃癌では、飲酒・喫煙・ピロリ菌感染などの発がん因子によって食道・咽頭扁平上皮粘膜や胃円柱上皮粘膜全体が発がんしやすい母地(field)となり、その結果発がんすることが知られている(field cancerization)。食道癌では多発ヨード不染(いわゆる“まだら食道”)、胃癌では慢性化生性胃炎が高発がんリスクfieldの phenotypeとなる。field cancerizationが発がん機序となる癌では、同時または異時多発癌が発生しやすい。従ってESDなどで温存された臓器には高い発がんリスクが残るため、ESD後長期予後を得るためには多発癌のサーベイランスが重要である。また多発癌を減らす介入(除菌・禁酒・禁煙など)も重要となる。本セッションでは上部消化管における同時・異時性多発癌のスクリーニング・サーベイランスについて、内視鏡観察法(画像強調・拡大など)の工夫、サーベイランスの妥当な検査間隔・方法、どのような患者や内視鏡所見が多発癌高リスクとなるのか、多発癌を減らす介入の妥当性など幅広く論議をしたい。多くの演題の応募を期待する。

ビデオワークショップ1

「ESD困難症例に対する工夫」

司会 国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 小田 一郎
虎の門病院 消化器内科 飯塚 敏郎

消化管腫瘍に対する内視鏡治療は、ESDの出現により目覚ましい進歩を遂げ、広く普及してきた。しかし、線維化、大きさなどの病変要因、部位や臓器などの場の要因、抗血栓薬服用など患者要因などにより、手技の難易度や偶発症のリスクは異なり、治療困難例に稀ならず遭遇する。これら治療困難例の克服には、手技・戦略の工夫、機器・処置具の開発・改良、周術期管理の改善などの対策が今なお求められている。本ビデオワークショップでは、治療困難例を克服し、より安全で確実なESDを提供するための具体的な方策を討論したい。演題応募に際しては、治療困難となる要因を明記し、これらを克服するための具体的な対策について動画にて提示いただき、その対策によって得られた結果・成績について報告頂きたい。少数の経験、症例報告も歓迎であり、多数の演題応募を希望する。また、その対策での限界があるのであれは、その限界についても示していただき、今後の課題も明らかにしていきたい。

ビデオワークショップ2

「ERCP, EUSのトラブルシューティング」

司会 東京医科大学 消化器内科 糸井 隆夫
埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科 良沢 昭銘

胆膵疾患における内視鏡検査・治療手技の発展はめざましく、現在では様々なERCP・EUS関連手技が行われている。ERCP関連手技としては、ESTなどの乳頭処置を基本として、胆管・膵管ドレナージ、胆石・膵石除去術などが日常診療で広く行われている。また、十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術もハイボリューム施設を中心として普及しつつある。さらに近年では消化管術後再建症例に対する検査・治療や各種Interventional EUSも試みられている。しかし、これらの検査・治療では手技に伴う問題点や偶発症も多く存在する。それぞれに対するトラブルシューティングを知ることは、胆膵内視鏡検査・治療手技を有効かつ安全に行う上で重要である。本セッションでは、各種トラブルシューティング法をビデオでご紹介いただき、成績を向上させる技術として共有できることを期待する。