希望講演形式


第110回日本消化器内視鏡学会関東支部例会 ご案内と演題募集のお知らせ

会長:岩切 勝彦(日本医科大学 消化器内科学)
会期:2020年5月30日(土)・31日(日)
会場:シェーンバッハ・サボー(〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5)

主題(シンポジウム、パネルディスカッション、ビデオワークショップ)、
一般演題、研修医セッション、専修医セッション

シンポジウム

「早期胃癌に対する内視鏡検診・スクリーニングの現状と今後」

司会 河合 隆(東京医科大学 消化器内視鏡学分野)
貝瀬 満(日本医科大学 消化器内科/付属病院 内視鏡センター)

 胃癌は罹患率2位、死亡率3位であり、胃癌の早期発見・治療の効率化・均霑化が求められている。近年、対策型胃癌検診として内視鏡検診が導入されてきたが、内視鏡検査の標準化や精度管理、検診体制の構築など多くの課題がある。また、ピロリ菌除菌の普及、ピロリ菌感染率の低下によって早期胃癌の病態が大きく変わり、背景胃粘膜(現感染・既感染・未感染)に応じた早期胃癌の内視鏡診断が求められている。本セッションでは、対策型・任意型内視鏡検診や病院診療における早期胃癌に対する内視鏡スクリーニングの方法・工夫・課題、対策型内視鏡検診における様々な取り組みと今後の課題など、早期胃癌の内視鏡検診・スクリーニングに関する演題を広く募集する。

シンポジウム

「胆膵内視鏡診断・治療の新展開」

司会 五十嵐 良典(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科)
糸井 隆夫(東京医科大学 消化器内科)

近年の胆膵内視鏡診断や治療には大きな進歩が見られている。ERCP関連手技の分野では、十分な送水吸引が可能で4方向へのアングルを有するデジタル式胆道スコープの登場により、胆管内病変の診断のみならず治療に関してもより安全で確実な手技が可能となった。一方、EUSでは診断から治療へと大きくその適応を広げており、胆管ドレナージや膵周囲液体貯留ドレナージなどは通常の方法で治療が困難な症例に行われるようになっている。特に、後者に関しては現在専用のLumen-apposing metal stentが市販されており、内視鏡的ネクロセクトミーにも有用とされている。本セッションではこうした胆膵内視鏡診断・治療の新展開について症例を提示しながらディスカッションを行いたい。多数の演題応募を期待する。

シンポジウム

「胃がんの内視鏡診断・治療の新展開」

司会 後藤田 卓志(日本大学医学部内科学系 消化器肝臓内科学分野)
後藤 修(日本医科大学 消化器内科学)

内視鏡検診の普及により胃がんの早期発見・早期治療が加速することが期待されるなか、胃がん診療の焦点は「より正確かつ効率的な診断」と「治療の超低侵襲化」にシフトしつつある。診断においては、Helicobactor pylori除菌後胃癌や未感染胃癌の診断、AIを用いた早期胃癌検出の効率化、存在診断や範囲診断における画像強調内視鏡や拡大内視鏡の有用性、超拡大内視鏡によるoptical biopsyの可能性、EUSによるより正確で低侵襲なSMT診断などが注目されている。一方、治療においては、高齢化社会を見据えたESDのさらなる適応拡大、より安全で確実なESDを普及させるための工夫、術後QOL維持を目指した臓器温存手術や腹腔鏡内視鏡合同手術、究極の局所切除法としての内視鏡的全層切除の試みなど、内視鏡が期待される場は多岐にわたっている。
本シンポジウムでは、内視鏡を用いた胃がん診療における各分野での新展開について俯瞰し、今後の胃がんに対する最適な診療ストラテジーを検討する機会になればと考えている。

シンポジウム

「大腸癌の内視鏡診断・治療の新展開」

司会 斎藤 豊(国立がん研究センター中央病院 内視鏡科)
浦岡 俊夫(群馬大学大学院医学系研究科 内科学講座 消化器・肝臓内科学分野)

近年の内視鏡機器の進歩は目覚ましく、画像強調や超拡大機能を搭載した内視鏡は、適切に使用することで大腸腫瘍の正確な評価を可能にする。大腸腫瘍病変に対するJNET(The Japan NBI Expert Team)分類は普及しつつあるが非熟練医においては判断に迷う症例も多い。そこでcomputer-associated diagnosis(CAD)やAI診断が診断支援技術として注目されている。さらには分子イメージング診断も研究されている。
一方、内視鏡治療においては、大腸においてもESDが標準化されつつあるが、AIを応用した内視鏡治療やロボット技術・再生医療の応用は内視鏡治療のさらなる発展に寄与するであろう。また、早期直腸癌に対する局所切除後、非治癒切除例に対する放射線化学療法の多施設臨床試験もスタートしており、その結果によっては治療選択肢が広がる可能性がある。
本シンポジウムでは、進歩する大腸癌の内視鏡診断・治療の新たな展開や取り組み、ならびに日常臨床における工夫も含めて、広くその可能性や課題などをご発表いただきたい。

パネルディスカッション

「炎症性腸疾患診療における内視鏡の役割」

司会 緒方 晴彦(慶應義塾大学医学部 内視鏡センター)
久松 理一(杏林大学医学部付属病院 消化器内科学)

炎症性腸疾患の診断、モニタリング、治療において内視鏡は欠くことのできないモダリティである。特に近年treat to targetのコンセプトが提唱され潰瘍性大腸炎においては長期予後を改善しうる治療目標として内視鏡的寛解がコンセンサスを得ている。しかし、実臨床においては内視鏡の位置付けについては課題も多い。内視鏡施行のタイミング、潰瘍性大腸炎とクローン病とでの違い、粘膜治癒の評価方法、生検病理組織の重要性、狭窄拡張術の適応、適正なサーベイランスとは何か、など議論すべき点は尽きない。本セッションでは炎症性腸疾患診療における内視鏡の位置付けと課題についての多くの演題を期待する。

パネルディスカッション

「バルーン内視鏡による診断・治療の進歩」

司会 山本 博徳(自治医科大学 内科学講座)
田中 周(日本医科大学 消化器内科学)

バルーン内視鏡により、小腸疾患の内視鏡診断や治療は飛躍的に向上し、疾患概念の確立にも寄与してきた。小腸内視鏡診療ガイドラインも発表され、OGIBの原因となる疾患、クローン病などの狭窄性病変、腫瘍性疾患、ポリポーシス、様々な炎症性疾患や薬剤性小腸炎に対する有用性も明らかとなっている。しかし、小腸疾患には診断や治療法が未だ十分に確立されていないものもある。また術後再建腸管における胆管治療に対するバルーン内視鏡の有用性も証明されているが、高度な技術が必要とされ、できる施設が限られているのが現状である。そこで本セッションではバルーン内視鏡による診断、治療や内視鏡手技に関して、新しい工夫や試みを紹介していただきたい。小腸だけでなく術後再建腸管における胆管治療に関するコツ、工夫、トレーニング法なども広く募集する。今後のバルーン内視鏡の普及に繋がるような有意義なディスカッションを行いたい。日常診療でバルーン内視鏡を行っている多くの施設からの演題応募を期待している。

パネルディスカッション

「消化管静脈瘤に対する治療戦略」

司会 中村 真一(東京女子医科大学 消化器内科学)
吉田 寛(日本医科大学 消化器外科)

食道静脈瘤は対しては内視鏡硬化療法(EIS)、内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)、胃静脈瘤に対してはHistoacrylによる内視鏡治療やバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)が治療法として確立している。さらに超音波内視鏡検査(EUS)や3D-CTangiography、MRIによる低侵襲で正確な血行動態診断が行われ、合理的で安全な治療が実践されている。しかし、巨大な静脈瘤、複雑な血行動態症例、合併症を有する例など治療困難例は依然として存在する。また、十二指腸や直腸などの異所性静脈瘤、左側門脈圧亢進症に伴う静脈瘤、手術後の吻合部静脈瘤などのマネージメントは議論の余地がある。本パネルディスカッションでは内視鏡診断・治療のみでなくIVRや外科手術も対象とし、診断のポイントや治療の工夫はもちろん、教育的な症例報告を含め静脈瘤診療に関する話題を広く取り上げ討論したい。

パネルディスカッション

「内視鏡による消化管機能診断」

司会 永原 章仁(順天堂大学医学部 消化器内科)
栗林 志行(群馬大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科)

消化管機能検査としては、食道では内圧測定やfunctional lumen imaging probe (FLIP)、胃では胃排出測定や超音波検査、小腸や大腸では通過時間測定やシネMRIによる消化管運動評価、直腸肛門では内圧測定や排便機能検査などが行われている。また、消化管造影検査は消化管の運動だけではなく、消化管内のボーラスの動きもみることができる。内視鏡検査は主に器質的疾患の鑑別目的に行われているが、内視鏡検査では消化管の運動を直接観察することができる。内視鏡検査中には送気を行って消化管を伸展させることから、消化管の伸展性も評価することができる可能性がある。さらに、内視鏡検査中に消化管に酸を撒布することにより症状を惹起して、消化管の過敏性や症状発現の機序を評価することもできる。また、画像強調観察、拡大内視鏡や超拡大内視鏡も機能診断への応用の可能性を秘めている。以上のように、内視鏡検査を用いた消化管機能評価には非常に大きな可能性があるものの、消化管機能診断に広く用いられる状況には至っていない。本パネルディスカッションでは、内視鏡を用いた消化管機能評価に関する演題を広く募集する。

ビデオワークショップ

「内視鏡止血術ー工夫とトラブルシューティング」

司会 田邉 聡(北里大学医学部 新世紀医療開発センター)
今枝 博之(埼玉医科大学病院 消化管内科)

消化管出血に対する内視鏡的止血術はある程度確立されているが、いまだに難渋する例もみられ、IVRや外科手術に移行したり、死亡例も散見されています。高齢化が進み、併存疾患を有する患者やNSAID、抗血栓薬の服用患者も増加していることにより、併存疾患を合併した上に易出血性でクリティカルな状態の場面に遭遇することもしばしばみられます。また、その他の薬剤起因性消化管粘膜傷害や大腸憩室出血なども増加しています。一方で、内視鏡的止血法として近年、ソフト凝固止血が普及してきており、大腸憩室出血に対するバンド結紮術も認可され、またクリップや止血鉗子などでは新たな処置具も登場しています。
本ビデオワークショップでは、消化管腫瘍に対する内視鏡治療後の出血を除いた消化管出血を対象に、内視鏡的止血法の選択や手技の工夫、トラブルシューティングに関する発表や、IVRや外科手術に至った症例の問題点などを動画をまじえて発表していただきたい。食道から大腸まで全消化管が対象で、1例報告も大歓迎いたします。明日からの日常診療に役立つセッションとなることを期待します。

ビデオワークショップ

「胆膵内視鏡治療―工夫とトラブルシューティング」

司会 露口 利夫(千葉県立佐原病院)
良沢 昭銘(埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科)

胆膵疾患における内視鏡治療手技の発展はめざましく,現在では様々なERCP・EUS関連手技が行われている。ERCP関連手技としては,ESTなどの乳頭処置を基本として,胆管・膵管ドレナージ,胆石・膵石除去術などが日常診療で広く行われている。また,十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術もハイボリューム施設を中心として普及しつつある。さらに近年では各種Interventional EUSも試みられている。しかし,これらの治療では手技に伴う問題点や偶発症も多く存在する。それぞれを未然に防ぐ工夫やトラブルシューティングを知ることは,胆膵内視鏡治療手技を有効かつ安全に行う上で重要である。本セッションでは,各種の工夫やトラブルシューティングをビデオでご紹介いただき,成績を向上させる技術として共有できることを期待する。(なお,消化管術後再建症例に対するバルーン内視鏡を用いた治療はパネルディスカッション2で取り上げる。)

ビデオワークショップ

「下部消化管腫瘍に対する内視鏡治療―工夫とトラブルシューティング」

司会 矢作 直久(慶應義塾大学医学部 腫瘍センター)
斎藤 彰一(がん研究会有明病院 下部消化管内科)

「下部消化管腫瘍」に対する内視鏡治療の中で、特に大腸ESDは早期大腸癌の発症率の増加や治療機器および技術の進歩に伴い、より確実で低侵襲な治療法として急速に普及しつつある。しかしながら、上部消化管と異なり腸管壁が薄く屈曲していることや、厳しい線維化の存在などにより治療が困難を極める場合があり、依然として難易度の高い手技と考えられる。これまでも、大腸ESDならではの困難な状況を克服するために様々な工夫が報告されているが、十分に確立されるには至っていない。本セッションでは困難例に対する治療の工夫や、手技が上手くいかない場合のトラブルシューティング、偶発症が起きた場合の上手なマネージメント、偶発症を回避するための工夫など、様々なアイディアやコツをビデオで分かりやすく発表して頂きたい。またCold polypectomyやPolypectomy、EMR等の比較的安全でより普及している手技においても、目から鱗の新たな発見や工夫があれば積極的に御発表頂きたい。むろんLECSに代表される腸管全層切除術などの新たな治療手技に関する発表も歓迎する。明日からの診療の糧となる様な、優れた発表を期待している。

ビデオワークショップ

「上部消化管腫瘍に対する内視鏡治療-工夫とトラブルシューティング」

司会 炭山 和毅(東京慈恵会医科大学 内視鏡医学講座)
小田 一郎(国立がん研究センター中央病院 内視鏡科)

PolypectomyやEMR、ESD、さらにはLECSやEFTRなど、上部消化管腫瘍に対する内視鏡治療の選択肢は増加した。LECSやEFTRは、未だ開発途上の手技であり、安全に手技を完遂させるには症例や術者に応じた工夫を要するのが現状である。一方、ESDは開発から時が経ち、手技や治療機器の成熟がかなり進んでいる。しかし、適応拡大が進んだことや社会の高齢化に従い、ハイリスク症例に対する治療へのニーズが広がっている。内視鏡治療に伴う周術期の偶発症リスクは事前に予測し得ないものが少なくなく、対策を講じることができない偶発症こそ最も対処が困難である。今回のビデオワークショップでは、上部消化管腫瘍に対する内視鏡治療における、ハイリスク症例への対策や工夫、治療困難例の治療戦略、また、出血、穿孔など不測の偶発症に対するトラブルシューティング方法について、動画とともにご報告いただきたい。