希望発表形式

シンポジウム

「消化管疾患診断における画像強調観察の有用性」

司会 昭和大学江東豊洲病院 消化器センター  井上 晴洋
   東京大学医学部附属病院 光学医療診療部 藤城 光弘

 画像強調観察は、丹羽・田尻らにより、光学法、デジタル法、光デジタル法、色素法に再分類、定義されて5年以上が経過した。この間、従来から用いられていた色素法に加え、NBI、BLI、i-scan OE などの内視鏡機器を用いた光デジタル法の進歩は目覚ましいものがある。総会では最先端の画像強調観察が取り上げられ、チャンピオン画像やチャンピオンデータが提示されることも多いが、色素法を含めた画像強調観察は、現在、どれだけ実際の診療現場に浸透し、患者さんの役に立っているのであろうか。内視鏡経験が浅い先生には有用であるが、熟練者には不要である、いや逆であるとか、質的診断には有用であるが、存在診断においてはまだまだ白色光に及ばないとか、様々な視点での検討が各施設で進んでいるものと思われる。本シンポジウムでは、臓器を問わず、地方会ならではの、若手の先生方や一般医家の先生方も含めた様々な角度から画像強調観察の有用性を探ってみたい。もちろん、 最先端の発表も大歓迎である。ただし、学会発表である以上、自身の経験や感覚での議論に終始することなく、客観的なデータの提示を抄録の段階からお願いしたい。多数の演題応募を期待しております。

シンポジウム

「胆膵EUS 診断・治療の進歩」

司会 北里大学病院 内視鏡センター 木田 光広
   東京医科大学 消化器内科   糸井 隆夫

 超音波内視鏡EUSは、1980年に最初の報告がなされ、その後臨床応用が急速に進んで、最近では造影 EUS,Elastography などの新しい診断技術も開発されてきている。そして、1992年に、Vilmann ら、Grimm らにより超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診・穿刺術 EUS-FNA が臨床応用された。これ以後診断的 EUS-FNA のみならずその技術を応用した治療的 EUS-FNA を含めてインターベンショナル EUS と呼称し、様々な臨床応用手技が普及しきた。本邦でもついに2010年には EUS-FNA が、2012年には超音波内視鏡下瘻孔形成術として保険収載され、臨床応用にさらに拍車がかけられた。今回のシンポジウムでは、診断的 EUS のみならず、EUS-FNA、腹腔神経叢ブロック CPN, CGN、膵仮性囊胞・膿瘍ドレナージ、ネクロゼクトミー、EUS 下の胆道ドレナージ EUS-BD, EUS 下の膵管ドレナージ EUS-PD、およびこれらを応用した治療 EUS-FNA に関する最近の進歩、安全に行うための工夫、トラブルシューティングなどについて、各施設に披露して頂き、関東内視鏡学会会員全体の知識として共有して、さらなるインターベンショナル EUS の進歩の一助になればと考えております。インターベンショナル EUS を行っている施設からの多数の応募を期待しています。

パネルディスカッション

「抗血栓薬と内視鏡 -実地診療における新ガイドライン運用の現状と課題」

司会 虎の門病院 消化器内科         貝瀬 満
   聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科 安田 宏

 新たな「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」が2012年7月に公表され、今年で2年となる。消化管出血イベントの回避を目的とした旧ガイドラインに対し、新ガイドラインは血栓イベントの回避に比重を置いており、180度の方向転換であった。また、新ガイドラインはエビデンスに基づいて作成されたものではなかったため、内視鏡診療の現場では少ながらず混乱を来してきた。抗血小板薬内服下での生検や内視鏡治療のリスク、INR が治療域内であった場合の抗凝固薬内服下での生検のリスク、ヘパリン置換での内視鏡治療の安全性など、現時点では未だ新ガイドラインの妥当性を検証している段階である。本セッションでは、クリニックから大学病院、検診まで広い範囲の内視鏡診療の現場から演題を募り、新ガイドライン運用の現状と課題を明らかにし、可能であれば新ガイドラインの妥当性に関するエビデンスを明らかにしつつ、現状と今後の方向性を論議したい。

パネルディスカッション

「緊急内視鏡を含めた消化管出血における手技と工夫」

司会 東京医科大学病院 内視鏡センター  河合 隆
   東京女子医科大学 消化器病センター 中村 真一

 消化管出血は内視鏡医にとって永続するテーマであり、内視鏡的止血術は修得すべき重要な手技である。近年この消化管出血などの緊急内視鏡において救命に直結した内視鏡という意味合いを含めた『Life-saving Endoscopy in Emergency』という概念も提唱されている。高齢化社会を背景とした非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)や抗血栓薬の服用者の増加により、上部消化管出血の頻度は依然として高く、大腸憩室出血も増加傾向である。さらに重篤な基礎疾患を背景に持つ患者も増加し、治療困難例に対する緊急内視鏡の重要性が高まっている。主たる止血手技はクリップ法、食道静脈瘤出血は EVL などの普及で止血が容易になったが、まだ十分なコンセンサスが得られているとは言えない部分もある。本パネルディスカッションでは消化管出血全般を対象とし、まず各施設で実施している標準手技を示していただき、その上で、奏功しなかった場合の次の一手、止血困難例への工夫、さらには緊急対応の手順を教示いただきたい。また、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)時の出血に対する対処・工夫も含めることとする。可能であれば、動画を用いた教育的な解説を希望する。あらゆる方面からの多数のご応募を期待する。

ワークショップ

「適切な膵・胆管ステントの選択と留置法」

司会 東邦大学医療センター大森病院 消化器内科 五十嵐良典
   東京大学医学部 消化器内科        伊佐山浩通

 膵・胆管ステント留置は基本手技ではあるが、効果的かつ低い合併症率を目指すためには、適切なステントの選択と留置法を工夫しなくてはならない。しかも、現在では非常に多彩な病態に応じて、手技を行っていかなくてはならない。良性疾患では、総胆管結石・胆管炎、術後狭窄、硬化性胆管炎、慢性膵炎などがあり、悪性であっても術前、非切除例による違い、癌の種類や十二指腸狭窄の有無などでも使用すべきステントや留置法が異なってくる。また、中下部なのか、上部・肝門部なのかでも変わってくる。ステントの種類、長さ、径などの選択も重要であり、ENBD か Plastic stent (PS) か、PS か Metallic stent (MS) か、MS は Covered か Uncovered かなどの選択も重要である。ステントの種類で成績が異なり、新しいステントの導入に際してはその評価も重要である。留置前の乳頭処置の有無や、十二指腸内か胆管内留置か、肝門部閉塞に対し side by side かstent in stent か、良性狭窄に対して single PS, multiple PS, Covered MS なども議論の尽きないところである。よりよい治療のために、合併症予防や Trouble shooting も歓迎する。手技の工夫の演題では、できるだけ動画の提示をお願いする。様々な場面に応じた治療戦略を示していただき、日常臨床に役立つ討論を行う予定である。

ワークショップ

「IBD の内視鏡診断・治療のコツ」

司会 慶應義塾大学医学部 内視鏡センター  緒方 晴彦
   東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科 猿田 雅之

 近年、潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療の進歩は著しく、タクロリムスなどの免疫調節薬や、インフリキシマブやアダリムマブなどの抗 TNF-α抗体製剤の登場により治療成績が飛躍的に向上している。それに伴い IBD の治療目標も「臨床的寛解」から「mucosal healing」や「deep remission」という機能的寛解へと変化している。一方で、免疫調節薬や抗 TNF-α抗体製剤の登場で治療成績が向上したことから、IBD の病勢や病態の評価が十分にされずに、比較的安易に強力な治療法が選択されている現状もある。適正な治療を実践するには、内視鏡による IBD の正しい診断および病勢評価が必須で、さらに、その内視鏡所見からいかに正しく治療ストラテジーを立ててゆくかが重要となる。具体的には、潰瘍性大腸炎とクローン病の内視鏡的な診断法や鑑別疾患の検討方法、治療選択決定のうえで重要な内視鏡所見の検討、免疫調節薬と抗 TNF-α抗体製剤の使い分けや治療開始のタイミングについての検討、内視鏡的な効果判定の時期の検討など、各施設における工夫とコツを提示して頂き、適正な治療を行うにはどのような点に気をつけるかを議論していきたい。

ワークショップ

「消化管内視鏡治療のトレーニング -効率的かつ安全に行うには-」

司会 がん・感染症センター都立駒込病院 内視鏡科 門馬久美子
   自治医科大学附属病院 消化器センター    山本 博徳

 近年の内視鏡技術の進歩により、従来主に診断機器であった消化管内視鏡が低侵襲治療のための機器として重要な役割を果たすようになってきた。治療内視鏡技術が進歩することにより、手技は高度となり、リスクも高くなっている。専門的技術を必要とする内視鏡治療手技を安全かつ確実に遂行するためには適切なトレーニングシステムの確立が重要である。
 本セッションではピットフォールの回避、偶発症対策など安全性確保を適切に行いながら効率的なトレーニングとする各施設における工夫を紹介していただきたい。指導者の立場、指導を受ける立場両方からの発表をいただき、活発なディスカッションとしていただきたい。