会長挨拶

第124回日本消化器内視鏡学会 関東支部例会
当番会長 久松 理一

(杏林大学医学部 消化器内科学)
会長 松田 尚久

 この度、第124回日本消化器内視鏡学会関東支部例会の当番会長を拝命いたしました。伝統ある本例会を担当させていただくことを大変光栄に存じます。ご推挙いただきました先生方、開催にあたり多大なるご支援をいただいておりますアドバイザリー、プログラム委員の先生方、そして関東支部会員の皆様に心より御礼申し上げます。

 今回のテーマは、**「若手登竜門としての日本消化器内視鏡学会関東支部例会」**といたしました。

 関東支部例会は、長年にわたり若手医師が症例をまとめ、学会で発表し、先輩方との議論を通じて成長していく場として重要な役割を果たしてきました。私自身も若い頃、この関東支部例会で発表し、多くの先生方からご指導をいただきました。ここで初めて学会発表を経験し、その後、全国学会、さらには国際学会へと活動の場を広げていった先生も少なくないと思います。まさに関東支部例会は、多くの消化器内視鏡医にとって一つの「登竜門」であったのではないでしょうか。

 一方、消化器内視鏡を取り巻く環境は大きく変化しています。診断・治療技術は著しく進歩し、Interventional EUS、新たな内視鏡治療、さらにはAIなど、かつては想像できなかった技術が次々と臨床に導入されています。しかし、どれほど技術が進歩しても、それを受け継ぎ、さらに新しいものを生み出すのは「人」です。次の時代を担う若い人材を育て、彼らが挑戦できる機会をつくることは、私たちの世代の大切な役割だと考えています。

 そこで本例会では、最新の内視鏡診療を学ぶと同時に、若い先生方が主役となり、挑戦できる学会にしたいと考えました。専攻医・研修医セッションを充実させるとともに、症例提示とディスカッションの力を競う「JGES-Kanto Cup」、さらに英語での学会発表に初めて挑戦する「世界への第一歩!はじめての英語発表チャレンジ」などを企画しています。失敗を恐れず、まず一歩を踏み出してほしい。そして、その挑戦を先輩の先生方が支える。そのような場にしたいと思っています。

 特別講演では、ダブルバルーン小腸内視鏡の開発者である自治医科大学の山本博徳先生に、「地域医療から世界へ(仮)」をテーマにご講演いただく予定です。山本先生にこのテーマでご講演をお願いしたのには、私自身の印象に強く残っている一つのエピソードがあります。以前、山本先生が研修医時代に離島で地域医療に従事されていた頃のお話を、とても楽しそうに講演されているのを拝聴したことがあります。世界に誇る内視鏡技術を開発された山本先生が、若き日に限られた医療環境の中で患者さんと向き合った経験を大切にされていることが、強く心に残りました。若い医師が成長するために、必ずしもすべての環境や設備が整っている必要はないのだと思います。むしろ、不自由な環境だからこそ自ら考え、工夫し、そこから独創的な発想が生まれることがあります。日々の診療の中で目の前の患者さんと真摯に向き合い、そこで生まれた疑問や工夫が、やがて新しい技術や研究となり、世界へつながっていくこともあります。いつかこのお話を若い先生方にぜひ聞いていただきたいと以前から思っており、今回、その機会を設けることができました。

 もちろん、本例会は若手だけのための学会ではありません。上部・下部消化管、胆膵、IBD、機能性消化管疾患からAIまで幅広いテーマを取り上げ、症例検討セッションやハンズオンセミナーも含め、世代や専門領域を越えて学び、議論できるプログラムを準備しています。若手の挑戦を中堅・ベテランの先生方が支え、同時に若い世代の新しい発想から私たちも刺激を受ける。そのような双方向の交流が生まれることを期待しています。

 この関東支部例会での一つの発表、一つの質問、そして一つの出会いが、その先生の将来を変えるきっかけになるかもしれません。そして、ここから次の時代の消化器内視鏡を担い、さらには世界へ羽ばたく人材が育ってくれることを願っています。

 2027年6月12日、13日、シェーンバッハ・サボーにて、多くの皆様、そして何よりこれからの消化器内視鏡を担う若い先生方とお会いできることを楽しみにしております。