希望講演形式


第109回日本消化器内視鏡学会関東支部例会 ご案内と演題募集のお知らせ

会長:田邉 聡(北里大学医学部 新世紀医療開発センター)
会期:2019年12月14日(土)・15日(日)
会場:シェーンバッハ・サボー(〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5)

主題(シンポジウム、パネルディスカッション、ビデオワークショップ)、
一般演題、研修医セッション、専修医セッション(口演:公募)

消化器内視鏡に関する演題を広く募集いたします。
応募は「本学会および他の学会で未発表」で、「倫理規定に抵触しない」演題に限ります。
口演は全てコンピュータープレゼンテーションです。
演者数につきましては、主題:5名以内、一般演題、研修医セッション、専修医セッション:
21名以内としてください。

※演題発表時に医学部卒後5年以内の研修医(初期研修医)または専修医(後期研修医)が筆頭演者の演題のうち、優れた5演題を選出し表彰いたします。受賞者には奨励金として3万円を贈呈いたします。
さらに、筆頭演者は翌年春の日本消化器内視鏡学会総会へ招待されます。(学会参加費、交通費、宿泊費等は日本消化器内視鏡学会が負担します。)奮ってご応募ください。
演題登録の際、「講演形態」選択肢欄の『研修医』、『専修医』を選択し、登録してください。

シンポジウム

「消化管出血の診断・治療の進歩―現状と課題―」

司会 溝上 裕士(筑波大学附属病院 消化器内科)
今枝 博之(埼玉医科大学病院 消化管内科)

消化管出血は日常診療においてしばしば遭遇するが、いまだに診断や治療に難渋する例もみられている。併存疾患を有する患者やNSAID、抗血栓薬の服用患者が増加していることにより、薬剤起因性消化管粘膜傷害や大腸憩室出血などが増加している。内視鏡治療の増加により治療後の出血もしばしば散見されている。また、止血法に関してもソフト凝固止血が普及してきており、大腸憩室出血に対するバンド結紮術も認可された。
本シンポジウムでは、静脈瘤出血、非静脈瘤性出血にかかわらず、あらゆる消化管出血(上部、小腸、大腸)を対象に、出血源の診断の進め方や同定が困難な場合の工夫、内視鏡的止血法の選択や手技の工夫、内視鏡的止血法の限界とIVRや外科手術のタイミング、併存疾患や抗血栓薬への対応、出血や再出血の危険因子の検討や再発予防への対策など多方面から発表していただきたい。特に動画を交えた発表も歓迎する。明日からの日常診療に役立つセッションとなることを期待する。

シンポジウム

「日常臨床に役立つ画像強調・拡大観察の進歩」

司会 井上 晴洋(昭和大学江東豊洲病院 消化器センター)
斎藤 豊(国立がん研究センター中央病院 内視鏡科)

内視鏡観察は従来法の白色光観察の時代から、Image-enhanced Endoscopy (IEE)の時代、さらに超・拡大観察(細胞観察)の時代へと大きく進化している。丹羽、田尻らにより、このIEEは、白色光、画像強調観察(光学法、デジタル法、光デジタル法、色素法)、拡大内視鏡観察(光学法、デジタル法)、顕微内視鏡観察(光学系、共焦点系)、断層イメージング(OCT:Optical Coherence Tomography、超音波内視鏡)などと分類されている。すでに画像強調観察・拡大内視鏡観察は日常臨床で一般化されており、①病変の拾い上げ ②腫瘍・非腫瘍の鑑別 ③癌の深達度診断 ④炎症性疾患の診断など多岐にわたり、新たな工夫や最新の知見など多くの演題を期待したい。市販化された超・拡大内視鏡をはじめとする顕微内視鏡観察、さらに最近では、AI(artificial intelligence)による診断も注目されている。本セッションでは、咽頭・食道から、胃、十二指腸、大腸まで広範囲に、“日常臨床に役立つ”観察法、診断法について、活発な討論をお願いしたい。

シンポジウム ※このセッションでは、メディカルスタッフからの指定演題発表を予定しております。

「内視鏡診療におけるリスクマネージメントと周術期管理の現状と課題」

司会 炭山 和毅(東京慈恵会医科大学 内視鏡医学講座)
吉田 俊太郎(東京大学医学部附属病院 光学医療診療部)

内視鏡診療の広まりにより、施設の規模や役割に関わらず多くの医療従事者が関わる状況となっている。内視鏡診療では、説明および同意、実際の診療そして診療終了後の患者説明までの一連の流れが重要となるが、それらにおけるリスクマネージメントと周術期管理に焦点を当てた包括的な検討が今まで十分には行なわれてこなかった。具体的には、同意書の書式、検査に必要な問診内容、タイムアウト、検査中のモニタリング、鎮静後の退出基準、症例のリスク評価やハイリスク症例への対応など議論すべき内容は多い。そこで、本シンポジウムでは内視鏡周術期に求められるリスクマネージメント法について広く演題を募集する。特に、リスクマネージメントを効率的に実施するにはチーム連携が重要であり、本シンポジウムには職種を問わず、あらゆるメディカルスタッフに演題登録も含めご参加いただきたいと考えている。

シンポジウム

「胃・大腸内視鏡検診の現状と課題」

司会 河合 隆(東京医科大学 消化器内視鏡学分野)
入口 陽介(東京がん検診センター 消化器内科)

対策型胃がん検診に、内視鏡検診の有効性が認められて4年が経過した。関東支部内をみると、都は区部を中心に、県では都市部を中心に内視鏡検診の導入が進んでおり、今後も導入を検討している自治体が数多くみられる。
すでに導入した自治体では、さまざまな課題に直面している。安全対策においては、洗浄法やセデーション、偶発症発生時の対応など、精度における課題には、観察撮影法とダブルチェックの施設間・個人間格差、精度向上のために必要な要精検者の資料・追跡調査など、地域の実情によって対策が必要である。また、今後に導入を検討している自治体では、自治体担当者との交渉やマンパワーなど地域の特徴を生かしたシステムづくりなどが課題となっている。
一方、大腸がんの死亡率は米国では明らかに減少しているにも関わらず我が国は増加し続け、約2.5倍の人口の米国と死亡数はほぼ同数となっており、早急な対策が必要である。米国では、50歳以上75歳に対して、10年に一度の大腸内視鏡検査あるいは毎年の便潜血検査を受けるように推進し受診率も高い。我が国は、内視鏡検査の単価も安く、技術レベルは高いが、便潜血検査の受診率も低率で、精検受診率も低い。大腸がん検診においても地域の特性を考慮した検診システムの構築、対策が必要である。
そこで、本シンポジウムでは、高齢化が急速に進んでいる我が国の現状を考慮し、安全で精度の高い胃がん・大腸がん内視鏡検診について考えていきたい。

パネルディスカッション

「炎症性腸疾患の診断・治療における内視鏡の役割」

司会 長沼  誠(慶應義塾大学医学部 消化器内科)
猿田 雅之(東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科)

炎症性腸疾患診療における内視鏡検査の役割としては、発症時における診断確定、他疾患との鑑別、重症度や罹患範囲の評価、治療効果判定、大腸癌のサーベイランスなど多岐にわたる。内視鏡機器開発に関しては、バルーン小腸内視鏡・カプセル小腸内視鏡の登場により、これまで診断や病勢評価が困難であった小腸病変のアプローチも容易になっている。従来大腸癌の進達度診断などに用いられてきた拡大内視鏡、特殊光内視鏡については、研究レベルではあるが炎症性腸疾患にも用いられている。さらに治療面ではクローン病におけるバルーン拡張術や、潰瘍性大腸炎関連dysplasiaに対する内視鏡的粘膜下層剥離術が行われるようになっている。
本パネルディスカッションでは、実臨床において内視鏡検査をどのように炎症性腸疾患患者診療に役立てているのか、各施設の取り組みや考えについて発表していただきたい。また臨床的寛解後の予後予測やその方法、粘膜治癒を目指した治療介入の意義、クローン病では術後の経過観察法や治療介入など、近年この分野でトピックスになっている内容についても広く討論したい。

パネルディスカッション

「胆膵領域におけるEUSの役割-診断から治療まで-」

司会 入澤 篤志(獨協医科大学医学部 内科学(消化器)講座)
岩井 知久(北里大学医学部 消化器内科)

胆膵領域においてEUSの果たす役割は近年ますます大きくなっている。解像度の高さから特に小膵癌においてはその病変描出能が高く、他のモダリティに比べて優れた診断能を有することが報告されているが、病変の存在診断以外にも、腫瘍の周囲臓器への進展の有無や胆道病変の水平進展の評価にも有用性が高い。その他、形態による腫瘍の鑑別や血流評価などを加味し胆嚢ポリープや膵嚢胞性腫瘍に対してスクリーニングから定期的な経過観察まで日常診療で欠かすことのできない役割を果たしている。また胆管結石の存在診断、慢性膵炎の進行度判定、膵胆管合流異常症など良性疾患に対しても汎用されている。一方で、画像診断には限界があり組織診断が必要とされる場面も多い。組織採取においては穿刺針の進歩や検体処理の工夫により診断能が向上しているが、術前のFNAの施行に関しては播種のリスクから適応が施設により異なるのが実情である。また、EUSを用いた胆道・膵管ドレナージ、膵嚢胞ドレナージなどは手技の標準化が達成されておらず、今後有用性、安全性に関する検証が必要な領域である。本セッションでは、EUSによる画像診断や病理診断の現状、EUSガイド下治療の成績や工夫を各施設から報告していただきEUS診療の位置づけを討論する。中小病院、ハイボリュームセンターに関わらず幅広い施設からの応募を期待する。

パネルディスカッション

Helicobacter pylori未感染・除菌後胃がんの内視鏡診断」

司会 貝瀬 満(日本医科大学 消化器・肝臓内科/付属病院 内視鏡センター)
藤崎 順子(がん研究会有明病院 消化器センター)

Helicobacter pylori(HP)感染率は急激に低下し、またHP陽性胃炎に対する除菌治療が広く普及しており、胃がん発生やその病態に変化が起きつつある。HP未感染の背景粘膜に生じる胃癌としては、印環細胞癌、胃底腺型胃癌、低異型度分化型腺癌などが知られている。これに加え食道胃接合部腺癌の増加も危惧される。接合部腺癌は進行癌での発見も多くみられ、発見時には噴門部胃癌かSSBE背景のバレット食道癌由来かが不明のものも多い。一方、除菌後や既感染粘膜に発生する胃癌も増加している。除菌後胃癌では癌の表層分化や非腫瘍上皮の被覆によって胃炎様所見を呈することが報告され、また地図状発赤などの存在でその診断が困難なことも多い。また、除菌後に経過観察されずに進行胃癌で発見されこともあり、除菌後にはどのような症例をどの程度の間隔で内視鏡観察すべきなのか、残された課題である。今後の時代の胃癌を考えるうえで、食道胃接合部腺癌も含めたHP未感染・除菌後胃癌の内視鏡診断に関する発表を広く募り、明日からの内視鏡診療に資する情報を発信していきたい。

ビデオワークショップ

「安全・確実な消化管腫瘍に対する内視鏡治療を極める -手技・デバイスの工夫-」

司会 山本 頼正(昭和大学藤が丘病院 消化器内科)
浦岡 俊夫(群馬大学大学院医学系研究科 内科学講座 消化器・肝臓内科学分野)

消化管腫瘍に対する内視鏡治療は、その低侵襲性から広く普及し、標準的治療法の一つとして確立されている。しかしながら、ときに偶発症などの有害事象により、その低侵襲性が損なわれる症例も発生するため、安全・確実に内視鏡治療を行うことが重要である。
内視鏡治療法は主に内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に分けられるが、最近では臓器によりEMRを応用したunderwater-EMRやcold snare polypectomyなどの手技が行われており、またESDでは、切除デバイスやトラクション法の改良、様々な切除後潰瘍の縫縮法等の工夫も行われている。
本ビデオワークショップでは、全消化管腫瘍を対象に、標準的な手技から高難易度の手技まで安全・確実な内視鏡治療を実施するための幅広い工夫に関する演題を募集する。
手技やデバイスの工夫を動画で提示していただき、内視鏡治療の安全・確実性がどのように改善したのか、安全面からの手技の限界やさらなる課題など、具体的な発表を期待している。

ビデオワークショップ

「安全・確実な胆膵内視鏡治療を極める-手技・デバイスの工夫-」

司会 糸井 隆夫(東京医科大学 消化器内科)
伊佐山 浩通(順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器内科)

ERCPやEUSを用いた胆膵内視鏡治療は外科的治療や経皮経肝的治療に比べて低侵襲であることから、現在では胆膵疾患の治療におけるゴールドスタンダードに位置づけされている。ERCPは十二指腸乳頭・副乳頭から胆管膵管に深部挿管ができて初めて治療へのアクセスが可能となるが、深部挿管は必ずしも容易ではなく、時に術後重症急性膵炎という深刻な偶発症を発症する危険性もある。こうしたERCP関連手技を安全で確実に行うためには、実臨床においては用いるデバイスも含め多くのコツがある。一方、治療的EUSはERCPに比べると開発後の歴史が浅い手技ではあるものの、治療的ERCP困難例を中心に近年広く普及している。しかし、未だ手技は十分に確立されているとはいえず、専用デバイス開発も十分ではない。本ワークショップでは安全で確実なERCPおよびEUS関連治療手技を目指した各施設でのコツや新しいアイディア、デバイスの工夫等を動画で供覧していただきたい。多数の応募を期待する。

ビデオワークショップ

「上部、下部消化管内視鏡検査を極める-確実な診断に向けての工夫-」

司会 小林 清典(北里大学医学部 新世紀医療開発センター)
小田 一郎(国立がん研究センター中央病院 内視鏡科)

内視鏡検査は、上部、下部消化管の腫瘍性病変、非腫瘍性病変ともに、それらに対する種々の検査法のなかでも、近年欠かすことのできない一つになっている。また、胃がん内視鏡検診の導入、早期発見・低侵襲治療が求められている高齢化社会の到来などの時代的背景において、内視鏡検査の果たす役割は、ますます重要となってきている。一方、消化管腫瘍に対する内視鏡診断は、存在診断に始まり、病変を発見した場合は、治療方針を決定するため、質的診断、量的診断を進めて行くが、内視鏡機器の進歩などにより、これらの診断能は向上してきた。非腫瘍性病変では、例えば炎症性腸疾患(IBD)に対して、診断のみならず粘膜治癒の評価やサーベイランスでのcolitis-associated cancer/dysplasiaの診断に内視鏡検査が果たす役割は大きく、拡大内視鏡観察や画像強調観察も活用されている。しかし、各臓器、各疾患において、内視鏡診断精度のさらなる向上や、内視鏡診断能の均てん化、トレーニングの標準化などが求められている。
本ビデオワークショップでは、消化管腫瘍性病変から非腫瘍性病変まで、確実な診断に向けた、上部、下部消化管内視鏡検査を極めるための取り組みを幅広く募集する。