会長挨拶

第116回日本消化器内視鏡学会 関東支部例会の開催にあたって

第116回日本消化器内視鏡学会 関東支部例会
会長 矢作 直久

(慶應義塾大学医学部 腫瘍センター 低侵襲療法研究開発部門)
会長 矢作 直久

 遷延するCOVID-19により、大変なご苦労を重ねておられる先生も数多くいらっしゃることと存じます。これまで実臨床の先頭に立って患者さんの対応に当たってこられた先生方のご尽力に、心より敬意を表します。さて、これまではCOVID-19の影響により、本学会をはじめ様々な学会がリモート開催やハイブリッド開催になって参りましたが、欧米では早くも対面での学会開催が増えてきております。日本ではまだまだ状況が不透明な部分はございますが、ワクチン接種も進み、更に期日が来年の6月ということもあり、対面での現地開催を目指して準備を進めております。
 従来より支部例会は若手の登龍門であり、できる限り多くの先生方に様々な角度から発表を行って頂きたいと考え、今回は敢えて特定のテーマは設定いたしませんでした。しかし、コロナ禍により診療や教育の体制が様変わりしたことに加え、政府の働き方改革の影響もあり新たな対応が求められています。そこで今回は新たな時代の働き方や教育を考えるセッションを設けさせていただきました。以前は丁稚奉公や徒弟制度の様に師匠の存在が圧倒的で、ローカルな流儀に縛られるだけでなく長時間勤務も当たり前でしたが、ワークライフバランスを考えた新しい働き方や、よりシステマティックで効果の高い教育システムを考える機会にしたいと思っております。また、少なくとも私が内視鏡を握り始めた35年前には、診断が内視鏡医療の主な役割で、治療内視鏡はごくシンプルな止血術やポリープ切除などに限られ、治療とは言っても不確実なものや姑息的なものとしてとらえられていました。しかし、今や適応症例をしっかり見極めれば根治的な治療が確実に実施できるようになり、内視鏡治療は低侵襲治療の主流を占める様になってきております。技術開発も日進月歩で、日々新たな低侵襲治療手技が開発されております。今回は内視鏡低侵襲医療を実践する上で欠かせない診断手技や、新たな低侵襲治療手技にもフォーカスして現状をオーバービューするとともに今後の可能性を探って行きたいと考えております。
 社会情勢や環境の変化により困難な状況が続いておりますが、来年にはコロナ禍が明けて、久しぶりに現地につどい活発に意見交換をして頂ける場になればと考えております。多くの皆様の参加を期待しております。