会長挨拶

第106回日本消化器内視鏡学会 関東支部例会の開催にあたって

第106回日本消化器内視鏡学会 関東支部例会
会長 岩男 泰

(慶應義塾大学病院予防医療センター 教授・センター長)

このたび、第106回日本消化器内視鏡学会関東支部例会を平成30年6月16日、17日の2日間にわたり、シェーンバッハ・サボーにおいて開催する運びとなりました。歴史と伝統ある本例会をお世話させていただくことは大変名誉であり、誠に光栄に存じます。また、同時に責任の重さを痛感しております。

近年の消化器内視鏡医学・医療の進歩は、目覚ましいものがあり、内視鏡医が修得すべき知識、技術は格段に増え、日々更新して行く必要があります。今回の例会ではメインテーマは掲げていませんが、内視鏡診療を取り巻く現況を見据え、基本技術の再確認を通じて日常臨床のレベルアップを図り、最新の進歩にも触れていただけるような企画・構成といたしました。いずれも最前線で活躍されている各分野のエキスパートに司会をご担当いただきます。

主題テーマとして、全国的に導入が進んでいる対策型胃がん内視鏡検診の現状、日常診療で日々遭遇する疾患でありながら、診断、治療にあたって難渋することや迷うことが少なくない、消化管出血および大腸ポリープのマネジメント、増加し続ける炎症性大腸疾患における内視鏡の役割、小腸疾患の診療に革新をもたらしたバルーン内視鏡の現況と新しい工夫や試み、などを取り上げました。治療内視鏡領域では、ESDおよびERCP関連手技について、安全に確実に効率的に行うための様々な工夫、困難例やトラブルに遭遇した際のトラブルシューティングを、動画で共有できるようにビデオワークショップとしました。また、診断学あってこその治療であり、画像強調観察の関する知識を再整理し、効率的な使用方法や手技上の工夫について、パネルでディスカッションいただく予定です。

特別講演には東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授 後藤信哉先生にお願いして「日本の臨床試験は生き残れるか-海外との比較」と題し、海外と比較した日本における臨床試験の実情と将来展望について、目から鱗の講演をお願いしています。

本例会は専門医を目指す研修医や専修医の教育、これからを担う若手の登竜門、さらには専門医の生涯教育の場としての役割を担っています。研修医・専修医セッションの中からは、優秀演題を選び表彰するとともに、奨励金および翌年春の総会への出席費用を授与いたします。アンサーパッドを用いた症例検討セッションでは、コメンテーターも交え1例1例をじっくり検討し、初学者から専門医まで、それぞれの立場で参加者全員のレベルアップが図れ、今後の診療に役立つ内容をお願いしています。いまや内視鏡技術のトレーニングの場として必須ともなったハンズオンセミナーは、胃ESD、大腸ESD、大腸挿入法、EUS-FNAの4セッションを用意しました。

以上、若手医師のみならずベテランの実地内視鏡医の先生方にもお役に立てるよう、日常診療に直結する実践的なプログラムを準備いたしました。ぜひとも多くの会員の先生方に演題のご応募、ご参加いただけますようお願い申し上げます。